2018年1月16日の午前中、一般社団法人 非漢字圏日本語教育協会(JLAN)は高雄市台湾にあるSHU TE外国語大学を訪問しました。
一般社団法人 非漢字圏日本語教育協会(JLAN)代表の方々
JLANの代表理事、大阪みなみ日本語学校の校長、橋野信生 様
GAG日本語学院の事務局長 NGUYEN DUY ANH 様
Jih Rong Yen副学長 兼 各部長方々 が出迎えてくださいました。
大学の日本語学科に対し、日本語教授力の向上を目標とした学習プログラムを提供するという内容について会談が行われました。
また、SHU TE 大学の学生に対して、様々な教育環境の中で体験できるように交換留学生 read more
本日の午前に引き続き午後も、一般社団法人 非漢字圏日本語教育協会(JLAN)はWENZAO外国語大学を視察しました。副学長 兼 国際協力教育部長 Samuel Ku先生が出迎えてくださいました。
和やかな雰囲気の中で会談が進み、広範かつ互恵的関係を築いていくことを確認し、次の協力プロジェクトが成立しました。双方の日本語教授力の向上を目標とし、学習プログラムを提供しながら、当協会と連携している日本語学院・日本語学校で6ヶ月から1年間の交換留学生として来日するプログラムを実施する合意に至りました。
早期実現に向けて具体的な計画案に移りました。
JLAN-Testについて
JLAN-Testの方針
JLAN-Test(ジェイラン テスト)は日本語を母語としない非漢字圏日本語学習者の日本語能力を判定する試験です。言葉を正しく使う力、文章の内容を正しく理解する力、聞いて理解する力の3つの分野の試験によって日本語能力を総合的に評価します。試験科目は、3つの分野をバランスよく判定するために、「言葉の知識(文字と語彙)」「言葉の知識(文法)・読解」「聴解」の3つに分かれています。出題の基準や構成は「日本語能力試験」(日能試、JLPT)とほぼ同じですが、試験科目「言葉の知識(文字と語彙)」の中での漢字に関する出題を増やしています。
他の日本語検定試験においては、漢字の到達目標設定が、「読めること」、「意味を知っていること」、「使い方を知っていること」とされていて、「正しく書けること」は、ほとんど判定の目標になっていません。非漢字圏の日本語初学者は漢字を読めて、意味を知っていて、使い方を心得ていても、正しく書くことができない人が非常に多く、日本語学習を進める上で、大きな障害となっています。また、漢字を正しく書く能力が身についていないことが、漢字嫌いを助長する要因ともなっているとも考えられます。非漢字圏の日本語学習者が、漢字学習における困難さに阻害されることなく、日本語学習をスムーズに進められるよう、これまでの「文字・語彙・文法」「読解」「聴解」の能力に加えて、「漢字を正しく書く能力」を判定する JLAN-Testを実施していきます。
JLAN-Testの長所
A 自分の日本語能力を客観的に判断できます。
JLAN-Testの出題の基準や構成は、「日本語能力試験」(日能試)に準じています。 出題の基準については、JLAN-Test のJ5は「日本語能力試験」N5相当、J4はN4相当になるように出題範囲、難易度を調整しています。試験の構成については、「日本語能力試験」と比較すると漢字の出題が多いですが、他はほぼ同じです。
このようにテストのレベルでも構成でも「日本語能力試験」に準じているので、JLAN-Testの成績によって自分の日本語能力を判断する資料になります。また「日本語能力試験」を受験する目安ともなります。
JLAN-Testは年に6回実施するので、日本語学習の進み具合を細かく確認することができます。
B 漢字についての知識、運用能力をより多面的に判定します。
JLAN-Test は非漢字圏の日本語初学者が学習をスムーズに進められるように,漢字学習に配慮したテストです。そのために初級レベルのみ判定するテストとしています。
出題の基準と構成は日本語能力試験とほぼ同じですが、次のような「漢字についての知識、運用能力」を判定するための出題が含まれています。
C 成績を多面的に分析します。
受験者には試験日から約3週間以内に成績表を送付します。成績評価は、総合評価だけでなく、分野別の得点と評価を詳しく記載しているので、自分の日本語能力が多面的に判断できるようになっています。これを見れば、受験者は自分の得意なところと不得意な分野が一目で分かります。これを参考にしてバランスのとれた勉強を進めることができます。
D 各レベルに合った適切な出題をします。
JLAN-Test は初級レベルの試験です。J5は「日本語能力試験」のN5のレベルに、J4はN4のレベルに準じています。
E 試験の運営は厳格です。
JLAN-Test は公正な試験を行います。受験希望者には本人確認のための顔写真を提出していただきます。試験当日に試験監督官が受験票と身分証明書等によって本人の確認を行います。
試験の内容、レベル、構成
A JLAN-Test のレベル、内容は以下のようです。
レベル |
内容 |
J4 |
基本的な日本語を理解できるかどうかを試験します。
日本語の学習を始めて3か月以上6か月未満(学習時間400時間)の人が理解していると考えられる内容です。 日本語能力試験 N4への合格をめざして学習している人の受験を想定しています。 |
J5 |
基本的な日本語をある程度理解できるかどうかを試験します。
日本語の学習を始めて1か月以上3か月未満(学習時間200時間程度)の人が理解していると考えられる内容です。 日本語能力試験 N5への合格をめざして学習している人を想定しています。 |
B JLAN-Test のレベルと試験科目、試験時間、配点、合格点、合 格の判断最低点は次のようです。
レベルと項目 |
試 験 科 目 |
全 体 |
|||
言葉の知識 (文字と語彙) |
言葉の知識
(文法)・読解 |
聴解 | |||
J4 |
試験時間 |
40分 | 60分 | 35分 |
135分+休憩 |
配点 |
0点~80点 |
0点~60点 | 0~60点 |
0点~200点 |
|
合格点 |
100点 |
||||
合格判断に必要な最低点 |
24点 |
18点 | 18点 |
60点 |
|
J5 |
試験時間 | 35分 | 50分 | 30分 | 115分+休憩 |
配点 |
0点~80点 |
0点~60点 | 0~60点 |
0点~200点 |
|
合格点 |
90点 |
||||
合格判断に必要な最低点 |
24点 |
18点 | 18点 |
60点 |
※ 試験時間は変更される場合があります。
成績表と合格証
JLAN-Test 試験本部、または試験実施国の運営本部はすべての受験者に成績表を送付します。成績表には、総合評価だけでなく、試験科目別の得点と評価を詳細に記載しています。受験者の得意な分野、不得意な分野一目で分かるようになっています。事後のバランスのとれた日本語の勉強に約立ちます。
合格者には当人の顔写真を印刷した合格証を送付します。これは日本語能力の証明書として活用できます。
日本語教育機関
学生募集ご担当 様
非漢字圏の日本語学習に対応した日本語検定試験
「JLAN-Test」結果の取り扱い
貴校におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
当協会は、非漢字圏での日本語学習者への支援を目的として設立された「一般社団法人 非漢字圏日本語教育協会」( JLAN ジェイラン)と申します。
貴校の留学生の学生募集・入学者選考業務に関係すると思われる当協会の活動の一端を申し上げまして、関係者の皆様のご理解をいただきたく書面を差し上げます。
関係者の皆様がすでにご存知のように、非漢字圏の日本語学習者には
・ 日本語運用能力の重要な要素である漢字に関する知識が少なく、
・ 漢字を活用、使用する技能が高度ではないので、
・ 日本での日本語学校での学習成果がはかばかしく進まず、卒業後の進路においても各自の能力を十分に発揮できないという深刻な問題が指摘されています。この事態を軽減するためには、すなわち非漢字圏の日本語学習者の漢字コンプレックスを自力で克服させ、日本の日本語学校入学後の学習をスムーズに行わせることにより、日本語学校卒業後の進路をより向上させ、併せて当人の日本での活躍の場を広く確保するためには、非漢字圏の日本語学習者に漢字についての知識を確実にし、漢字を読み書きする合理的な練習をさせることが必要です。
しかし、非漢字圏とはいっても多くの国が含まれ、それぞれの国での日本語教育に統一的なカリキュラムがあるわけではなく、各現地日本語教育機関の教育方針に依存している現状では、一概に漢字学習の深化の必要性を主張、説明しても効果は上がりません。
この現実を見れば、非漢字圏での日本語学習者の弱点を克服するために、学習者自身が
・自分の漢字学習の弱点を意識化したうえで、
・非漢字圏での日本語学習に必要な漢字の学習方法を取り入れ、
・漢字学習でのコンプレックスを克服し、日本語学習のモティヴェーションを高めていく必要があります。これらを実現していく一助になればと思い、当協会は2016年4月から非漢字圏での日本語学習者を対象とした独自の日本語検定試験 JLAN-Test を、まずはベトナムから実施することにいたしました。
JLAN-Test では文字・語彙、文法・読解、聴解という基本的な日本語運用能力を調べるだけではなく、漢字を書く能力をも査定します。非漢字圏での日本語学習者が日本において漢字を使用、活用できるように構成してあります。ですから JLAN-Test で一定の点数を獲得した留学希望者は日本の日本語学校に入学した後も、漢字を書く査定を受けていない留学希望者に比して漢字の使用にそれほどの困難を感じることはありません。したがって非漢字圏の日本語学習者の多くが持つ漢字コンプレックスも少なく、日本語学校の学習も当人の能力に応じて進捗していきます。これが私たちの実施する検定試験の目的であり、特徴でもあります。
なお、JLAN-Test は非漢字圏の日本語初学者が漢字学習における困難を軽減しながら日本語学習を進めていけるようにと意図しているので、受験対象者は初級レベルの学習者としており、「日本語能力試験」のN5 と N4に相当する レベルの試験のみを実施します。JLAN-Test では日本語能力試験のN5 相当のレベルを J5と呼び、N4 相当のレベルを J4 と呼んでいます。
このような理由から、JLAN-Test J5の合格者は、入国管理局の基準である日本語能力試験N5相当という基準を満たしており、日本の日本語学校で学ぼうとする非漢字圏からの留学希望者の日本語能力を判断するための基準としては十分に機能すると考えております。
JLAN-Test の趣旨や実情をご理解いただきますとともに、試験結果は留学生の日本語運用能力を判断する資料としても使用できることをご留意いただきますようお願い申し上げます。どうぞ宜しくお願い申し上げますとともに、貴校のご発展を祈っております。
一般社団法人 非漢字圏日本語教育協会
812-0015福岡市博多区山王2丁目11 – 2
Phone: 092-292-0490 / Fax.: 092-292-0491